2008年03月04日

研磨に関して

研磨に関して
日本刀を研磨するのは包丁を研磨したり鉋を研磨するのとはかなり異なります。
切れ味を良くする事も重要ですが現在ではより美しく研磨する事がより重要であると考えます。
肉置きを大切に刀剣の持つ美しい部分を引き出して研磨を行うわけですから長年の修行や工夫が必要となってきます。
しかしながら元来日本刀は使用される武器ですから中には長年の使用や条件の悪さで研ぎ減る刀も多く、研磨がなされない場合朽ち果てる日本刀も数多いというのが現状です。

本来文部省が管理しなければならなかった赤羽刀は見るも無惨な状態で民間に払い下げられました。 素材が鉄で出来ているわけですから油を塗るなどして厳重に管理を怠らなければあのような最悪な状態にはならなかったでしょう。


さて研ぎ師さんは日本刀の研磨は素人が行うべきではないと言われますが、脇差の状態の悪い錆刀を研磨すると数万円の研磨代謹を支払わなければなりません。


研磨は

荒砥:錆びた部分をこの砥石で取り去る。
伊予砥:荒砥の研いだ研目を取り去る。
備水砥:伊予砥研いだ研目を取り去る。
改正砥:備水砥研目を取り去る。
名倉砥:改正砥研目を取り去る。
細名倉:名倉砥研目を取り去る。
合わせ砥刃引砥:細名倉研目を取り去る。白く研磨される。
合わせ砥地引砥:かなり硬い砥石で上手く引くと黒みを帯びて地鉄の肌や地景、地沸が引き出される。
地艶砥:地艶砥 葉書の厚さより薄くし親指の背で砕き親指で研磨すると更に地鉄の肌や景色が引き出される。
拭い:磁鉄鉱、金肌、孔雀石、等を微細に砕き丁地油で溶き青梅綿で濾して刀身に塗り強く塗り込んで行く。
全体に黒い色合いとなる。
刃取:化粧を行う為、極めて薄い合わせ砥刃引砥で刃紋の部分を覆い研磨する事で美観を添える。
刃の部分が白くなるので黒い部分は増々黒く見える。
磨き:へらで刀身の鎬地と棟を磨く。
横手筋切:きりっと縦に線を入れる。
帽子なるめ:白く刃引砥で研ぎ上げる。

概ねこの様な工程で日本刀は研磨されて完成されます。
したがって研磨によって刀の良し悪しが引き出されてきますのでお手持ちの刀を研磨される時は十分に検討され、価格、期間、出来上がりの状態を研磨に出される前に研ぎ師さん及び中間に立つ業者と相談する必要があります。

研磨してもかなり疲れが見える場合は安価に研磨される研ぎ師さんに依頼すると良いでしょう。
素人であっても前もって良く勉強をし、丁寧に研磨を行えば結構見違えるものなのです。

誤解のないようにお話しますが研磨代金は研ぎ師さんによって大きく異なります。
恐らく名品ばかりを研磨されておられる研ぎ師さんでしたら脇差の瑕のある品物でしたら断られるでしょう。

このような刀も400年500年を経過し過去大切に現代に至る迄、数多くの人々によって保有されてきたのです。
是非研磨をしたいと考えても1万円位では誰も研磨されないでしょう。
さすれば研磨を自分なりに勉強され一生懸命研磨されればこの刀はその先も誰かによって保有されると考えるのです。

1万円程の無銘脇差に高額な研磨代を研磨された後に請求されるなんてことがないよう良く考えて研磨をおこなうかどうかを前もって決めて下さい。


日本刀は類稀な武器です。 製作する段階で茎(なかご)に銘を入れ、研磨を行い、拵をその刀に合わせて製作します。
地金と刃紋を鑑賞出来る迄、徹底的に十分研磨がなされ、武士はそれを大切に保有し続けその刀を次の世代へ更に次の世代へと引き継いでいきます。 
全ての侍が同じ感覚で大切に錆びさせない様に十分注意を払い続けていくのは何故なのでしょうか。 私は武士としての誇りがそこに込められているのではないかと考えます。 

元々鉄は錆びやすく朽ちやすい金属です。世界には数多くの刀剣が製作されてきました。しかしながら刀剣の茎に銘を入れたり年期を入れたり、また十分鑑賞に耐える刀剣を製作したかとなると恐らく皆無に近いのではないでしょうか。

私たち日本人はこの事実に目を向けて、祖先が残してくれた誇るべき日本人の武士としての魂を大切に保管して次の世代へと引き続けていきたいと考えます。

日本刀は銃砲刀としての法律で縛られておりますので世間一般から嫌な目で見られております。
そのため多くの日本人から冷たい目で見られ続けてきました。
無登録の日本刀を保持すれば銃刀法で罰則があります。

このような中で海外の日本刀を収集する外国人が多くなってきており、数多くの日本刀や武具、小道具等が海外へと流出されております。 
かつて浮世絵が、次に根付が、蒔絵が海外に流出され現在では若者が勉強しようとしても海外の博物館や大学で学ばなければならない状況なのです。 
今後10年位で数多くの日本刀や武具が流出してゆく事でしょう。
これを差しとめる事は不可能です。 海外の収集家はかなり真面目に侍文化を学び傾倒しており、大切に愛蔵しております。
おそらく日本人以上に、、、


日本刀を愛蔵される方々がご自身のお子様に誇りを持って日本刀についてご説明されるともっと世間一般の評価は高くなるでしょう。
例えば:家には日本刀がある。 君は日本人としての誇りを持たなければならない。 15歳で成人となり、人としてやって良い事、悪い事のけじめはしっかりもって欲しい。 弱い者虐めや女性を虐めたり、又弱い者を多人数で虐めるなど卑怯な行為は侍として絶対に行わず、優しさをもって困った人物には手を差し伸べて欲しいと幼稚園、小学生からいい続けたならば、きっと礼儀正しい若者に成長すると私は考えるのです。
又もし虐めを行った時、大人が叱った時にきっと反省するに違いありません。 今の多くの若者は悪事を働き、大人が怒ったとしても怒られた理由が分からず神妙な面持ちで当面あやまった振りをして、その場が収まれば再び虐めが蔓延るのです。


色々な理由はあると思いますが是非日本人として日本刀を大切に保有して頂きたいのです。かけがえのない文化財ですから。

posted by 日本刀と刀装具の葵美術 at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブサイト関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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